ヨガの聖典には実生活で覚えたほうがいい、実践したほうがいいと思うことがたっくさん書いてあります。
その中から今日はヨーガスートラ第1章33節を紹介していきたいと思います。
『他の幸福を喜び〔慈〕不幸を憐れみ〔悲〕、他の有徳を欣び〔喜〕不徳を捨てる〔捨〕態度を培うことによって、心は乱れなき静澄を保つ。』
インテグラル・ヨーガ スワミ・サッチーナンダ著
目次
他人の幸せを素直に喜べますか?
ヨガは心をフラットにすることですが、そのために日常に取り入れたいこととして
「人の幸せを素直に喜びましょう」
というものがあります。
『なんだ凄く簡単!』
そう思いますか?
簡単そうだけどなかなかできない
実際、当たり前のように実行できてる人は周りにいますよね。
そういう人は心が穏やかなんだろうなと思います。
- 幸福な人に会ったら羨むのではなく、素直に喜ぶ。
- 不幸な人に会ったら蔑むのではなく、憐れみの心を持ち、余裕があれば手を差し出す。
- 優れた人格者に会ったら、羨んだり貶めようとするのではなく、自分のお手本とし、見習う。
- 不道徳、道に外れている人に会ったら、忠告などせず無関心でいる。
文章で読むと、なんだかできそうだなと感じますよね。
例えばどうでしょうか
自分か不幸のどん底にいると感じている時、幸福な人を見て喜べるでしょうか。
自分が幸せの絶頂にいると感じている時、不幸な人を見て相手を見下さず、対等に接し手を差し出せるでしょうか。
最後の
4.不道徳、道に外れている人に会ったら〜
もとても興味深いですよね、とてもおもしろい話がヨーガスートラに書いてあったので紹介しますね
助言しないで無関心でいる?不道徳な人に会ったら・・・
ある雨の日のこと、一匹の猿が、全身ずぶ濡れで木の枝に座っていた。同じ木の、ちょうど向かい合わせになった小さな枝に、一つの巣がぶら下がっていて、中に一匹の雀がいた。
〜中略〜
その雀が巣の中から外を眺めていると、猿の姿が目に入った。そこで雀は、
「ねえ君、僕はとっても小さいだろ、君みたいな手もないし、小さなくちばししかない。小さなくちばしだけで、こんな雨の日もあろうかと思って、ちょっとした家を作っておいたんだ。 〜中略〜 君たち猿は人間の祖先なんだってね、だったらどうして頭を使わないの?雨をしのげるような小屋を、ちょっとどこかに作ったら?」
それを聞いたときの猿ときたら、ものすごい形相で
「何だと、このチビ助め!俺にお説教しようってのか。自分は巣の中にいて気持ちがいいもんだから、俺をからかってるのか?ようし、見てろ、どういうことになるか思い知らせてやる!」
そういうと猿は、その巣をずたずたに引き裂いてしまった。哀れな雀は雨の中に飛び出して猿と同じようにすぶ濡れになってしまった。
インテグラル・ヨーガ スワミ・サッチーナンダ著
というお話です。
実生活でも似たような経験をしたことはありませんか?
良かれと思って、手を差し出したら逆効果で損害を被ってしまう。
よくありそうな話ですね。
上記のお猿さんはなぜ逆上してしまったのでしょうか。
(雀さんの言い方が悪かったというのは置いておいて)
心に余裕がないとき、与えたれたものを素直に受け取れないものです。
このお猿さんは、雀さんの助言を屈辱だと受け取ったのではないでしょうか。
「自分のことをバカにされている!」
というような自分にとっての攻撃と受け取ったかもしれません。
そうすると、人は自分を守ろうとして感情の矛先を相手に向けます。
その感情の向かった先が巣の破壊になったんじゃないかなと思います。
このように、相手のためを思って助言しても自分の感情が乱れるだけなので
無関心でいましょう。という訳なのです。
いずれその人も経験をして学ばなければならない時がきます。必要な時に必要な学びの時がやってきます。
ですが、
全てをわかった上での助言は、必要なこともあるんじゃないかなと思うこともあります。その人が成長した時、その助言を思い出すこともありますよね。
まぁ、そこまでの信頼関係があった上での話ですが。
素直に感情を受け入れる
すぐに気持ちを切り替えることは難しいと思いますが、その場面に出会った時、自分の感情に注目してみてください。揺れ動いている感情を観察していると、自分の思い癖が分かってきます。
その思い癖をさらに細かく観察すると、心を静澄にするヒントが見つかるかもしれません。
「自分が幸せじゃないのに人の幸せなんて喜べない!」
その気持ち良く分かります。でも、今はそれでいいと思います。
その気持ちに気付いたとき、少し目を閉じて「喜べない自分」を観察し、
なんで喜べないかを分析してみてください。
その時、無理のない範囲でゆっくり呼吸してみましょう。
だんだんと心が穏やかになってくるのが分かるかと思います。
(穏やかにならなくでもいいです。ゆっくり呼吸することが大切です。)
そして、だんだんと自分に素直になれるといいですね。