前回に引き続き
ヤマ(禁戒)『あまり行わない方がいいこと』
の一つに、サティヤ(=正直に)があります。
行わない方がいいことなので
『嘘をつくこと』
ですね。
心の揺れを落ち着けたい人が、常に心に留めておいてほしいことです。
目次
サティヤ〜なぜ「正直さ」が大切なのか。
嘘をついてはいけない=正直でいること
『正直』でいるためには、どのように過ごせばいいかを考えた時にすぐに思い出されるのは
『嘘をつかないこと』ではないでしょうか。
では、なぜ嘘をついてはいけないのでしょう。
「悪いことだから」
「相手を傷つけるから」
「いつかはバレるから」
それぞれに考え、思いがありますね。
あなたが嘘をついたと考えてみましょう。
どんなに冷静でいるつもりでも、心が揺れていると思いませんか?
心が揺れないようにするために、正直でいましょう。
嘘はつかないようにしましょう。
という事なのです。
嘘をつくと、なんで心が揺れるの?
心が揺れる一つの大きな要因として
その嘘が暴かれるのではないかという「恐れ」がやってきます。
そして、初めは一つの嘘でも、それを取り繕うために、また新たな嘘をつかなくてはいけなくなります。小さな嘘がどんどん広がってしまい、引き返せなくなってしまう。
そんな経験はないでしょうか。
それでは「心の安定」どころではなくなりますよね。
このサティヤは、自分を守るためにも心に留めていてほしいことの一つです。
ですが、難しいんですよね。
他人にも自分にも正直でいるということは。
この『正直さ』社会生活に置いて、どのようなところが難しく感じるのでしょうか。
難しい?他人に対して嘘をつかないこと。
「嘘も方便」という言葉があります。
本当に真のヨガを極めていきたいなら、方便としての嘘も言ってはいけません。
ヨーガスートラを解説している本に、
嘘をいうことで誰かに困難や不都合が生じるならば、我々は沈黙を守るべきである。
嘘をついて「私は知らない」というのではなく、はっきり
「私は知っているが言いたくない」と言えば良い。
書かれていました。
これくらいならできそうですか?
ですが、正直に暮らしていきたいと思う反面、日常のいろいろな場面では
「私は知っているが言いたくない」
とは、言えないこともあると思います。
そんな時、とっさに嘘をいうのではなく
ここで発言することは
『相手のためになっているのか』
を考えるようにしましょう。
これも難しいところで
本当に相手のためになっているのかを考え、発言したとしても
結果的に相手に損害を与えてしまうこともあります。
なので、なるべく慎重に発言することです。
そして、自分の保身になっていないかを考えましょう。
それが本当の意味での『嘘も方便』ではないでしょうか。
しかし、
「嘘をいうことで”相手のためになっている”と思っても、振り返った時に、あの時、真実を言えばよかった。」
と、思い出すこともありますよね。
ですが、その時の自分が、本当に相手のためを思って発言したことならば、大きく心が揺れることはないと思います。
この、”相手のためになっているか”は厳しい言葉を伝える場面でも同じです。
自分の感情で言ってはないか。
本当に相手のためを思っての言葉かを考えましょう。
そうでなければ、ヒンサー(暴力)になってしまいます。
失敗を繰り返し、反省してまた新たな失敗をする。
その積み重ねで本当の『サティヤ』に近づいていけばいいと思います。
自分に嘘をつかない
他人に対してだと、思いを想像することしかできないので
『嘘も方便』を使ってしまいがちですが
『自分に嘘はつかない。』
これは、できるだけ守っていきましょう。
自分に嘘をついてしまう時、自分を偽らなければならない時は、どのような場面でしょうか。
「自分に自信がない」
「自分が弱っている」
「嫌われたくない」
「否定されたくない」
このように思っている時ではないですか?
多くの方は他人から
「嫌われたくない」
「好かれたい」
と考えていると思いますが、自分を偽って好かれても
それは本当に自分が望んでいることでしょうか。
本当の自分は、自分のことを誰よりも知っています。
自分を欺くことで、小さな歪みが生まれ、心がグラグラ揺れてしまいますよ。
他人に対して、誇示する必要は全くありません。
いきなり全てとはいかなくても、まずは、小さなこと
できそうなことから始めてみましょう。
好きに行動すればいいの?
このサティヤ勘違いしがちですが
自分に『正直に』といって
感覚の赴くままの行動を推奨している訳では決してありません。
自分が食べたいからと言って
暴飲暴食に向かうと自分への暴力(ヒンサー)になってしまいます。
こんなことはありませんか?
心の中で
「こんなに食べたらダメなのに」
「楽しいけど、ここで終わらなきゃ」
「すぐに家に帰らなきゃいけないのに」
このような声が聞こえてきているのに、心とは裏腹に、手が出てしまい、足が向いてしまう。
どうしても、自分の感情や欲求が抑えられない。
それについても、ヨガではしっかりと向き合っていきます。
ヨガで大事なことは、自分は「感情」ではないということ。
また、詳しく書いていきますね。
ヨーガスートラの第2章36節に
正直に徹したものには、行為とその結果がつき従う。
という一文があります。
常に正直でいる人、その口から、一言も嘘を発しない人の言うことは、すべてが現実となる時が来る。
というのです。
常に正直で居られるということは、常にまっさらな自分で居られるということで
常にまっさらな自分で居られるということは
自分を誇示しなくてもいい、嘘をつかなくてもいい
人間関係を築いていくことではないかなと思います。
いい人間関係を築くことは、自分を信じる力になり
それが太い軸となり、さらに、揺れない心が出来ていく。
このイメージの方が近いのかなと思います。
正直、今の自分にはまだ遠いですが、理想に近づけられるよう
日々「サティヤ」を心に置きながら生活していきたいと思います。
まとめ
できるだけ嘘をつかない。正直に。
相手のためを思っての発言かを考える。
感情のままには動かない。
いい人間関係を築いていく。
前回、今回とヨガをしていく上で
「できるだけ行わない方がいいこと」
を書いていきました。
まだあるのですが、とりあえずこの
『アヒンサー』と『サティヤ』
この2つを心に置きながら生活していきましょう。