以前に人間の構造を馬車に見立てた図を紹介しました。

実は、ヨガではもう一つ人間の構造を表した図があるんです。
今回はその図をご紹介したいと思います。
目次
まずは、この図をごらんください
人間は5つ(パンチャ)の鞘(コーシャ)、層からできていますよ!
ということなんです。一つ一つが関連していて刺激し影響を与えています。
なんのことやら分かりませんよね。
一つずつ説明していきますね。
分かりやすく外側から
これは、一番わかりやすいですね。食物とありますから、食べ物でできている部分です。骨、肉、血管、肌〜目に見えている部分です。
一番粗雑な部分です。ですが、粗雑なおかげで目に見えるので整えやすい部分でもあります。
どうやって整えるのかというと、ヨガのクラス行うアーサナでこの部分を整えていきます。アーサナで体のいろんなところをほぐし、鍛え、整えていきます。
「呼吸と動きを意識して行うことで、ただのポーズではなく、ヨガのアーサナになりますよ〜」とお伝えしているのは、次の鞘に影響しているからなんです。
食物鞘が整ったら、次のプラーナーマヤ・コーシャ(生気鞘)を刺激し、影響を与えます。
肉体(食物鞘)の一つ内側にある鞘です。ここから先は目では見えません。人体を解剖しても取り出すことはできませんので、体より少し繊細な鞘になります。
ここはプラーナと最も関係のある鞘になります。(プラーナについては、また後日、書いていこうと思います。)
アーサナをしている時、「呼吸に意識を向けましょう〜」ってよく言いますよね。それは、この鞘に影響しているからなんですよ。(大切なので2回言いました。)
ここは、さらに肉体を整えること+呼吸法、プラーナヤーマの実践で整えていくことになります。
ここで気をつけていただきたいのは、体(食物鞘)を整えた上での呼吸法だということです。体を整えずに呼吸法ばかりしても、次の鞘に影響を与えません。
この鞘が整ったら、次のマノーマヤ・コーシャ(意思鞘)を刺激し、影響を与えます。
生気鞘の一つ内側にある鞘で、より繊細な鞘になります。
ここは、『馬車説』でいうところの”手綱”の働きになります。
ここは感情や感覚、感性を司る鞘でもあります。鞘同士は影響しあっているので、呼吸(プラーナ)と感情は連動しています。
少し思い出してみてください。自分がイライラしている時、急いでいる時、その時の呼吸はどうでしょう。多分、とても浅く早い呼吸になっているのではないかと思います。
プラーナ(生気鞘)が整っていないと、肉体や感情にちゃんと指示をだせません。”手綱”が上手に裁けず、その結果、お馬さんの暴走につながります。
この鞘は、さらなる呼吸法の実践+瞑想、ヨガの聖典での学びで、整えていくことになります。
次はヴィジナーナマヤ・コーシャ(理知鞘)です。
ヴィジナーナマヤ・コーシャ(理知鞘)です。ここは整えていく、変容していくのはとても難しい鞘になります。なぜかというと、人の認知を司る鞘だからです。
その人が、現在まで生きてきた中で、培ってきた認識がすべてこの鞘にあります。みるからに手強そうですね。
『馬車説』でいうところの、手綱をさばく”御者”になります。
なので、ここが間違った認知をしていると、今までの鞘すべてに影響を及ぼします。すべてのストレスの源、病気の根源である鞘になります。
ヨガとアーユルヴェーダでは意思鞘と理知鞘の考え方に少し違いがあります。伝統的なヨガでは意思鞘は情報の授受のみを行い、この理智鞘は情報の認知、予測、判断決定、行動指令すべてを行うとされています。
整えることが難しそうなこの鞘では、より瞑想を深め、ヨガの学びを深め整えていきます。学びを深め、間違った認知を、正しい認知へと変えていくことで、少しずつ整えていきます。
言うのは容易いですが、自分の培ってきた認識を変えていくのは容易ではありません。根気がいりますね。
ここが整ったら、いよいよ最後のアーナンダマヤ・コーシャ(歓喜鞘)です。
最後の鞘のアーナンダマヤ・コーシャ(歓喜鞘)ここは記憶の倉庫がある鞘です。そして、心素(チッタ)の鞘になります。ここを整え、制御することがヨガの本来の目的です。
この場所は本来なら苦悩は存在しません。歓喜とありますが、感情の上がった喜びではなく、穏やかな心の底から湧いてくるような、喜びの場所です。
以前、幸せな状態について書きました。

本当の幸せとは、自分の体の内側から、もたらされるものなんです。
記憶の倉庫の鞘ですから、時として、トラウマ/PTSDの素となる記憶の倉庫にもなります。こんなに奥深くに原因があるので、トラウマって、本当に心の深い傷なのだということがよく分かります。
ここを整えていくには、さらに学びを深め、認知を正していくしかありません。
ここが整って初めて、さらにその奥の真我(本当の自分)を見ることができます。
私は、このパンチャコーシャなかなか理解できませんでした。表面上で覚えるのは簡単なのですが、自分の中に落とし込めませんでした。今振り返ると、向き合おうとしていなかったのが要因だと思います。
ですが、ある日『ウパニシャッド』の解説本を読んでいた時、突然に自分の中に落とし込めました。「わかったー!」と目の前が開けたような感じがしたのを今でも覚えています。
なので、今は理解できなくても、イメージだけぼんやりと捉えていただければいいです。
これを見て興味を持った方は、解説している本がたくさんあるので是非読んでみてくださいね。