「ヨガを練習している人の目標は、難しいポーズがきれいにできるようになること」
そのように思っている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、体を動かずこともヨガなのですが、ヨガの「一部」であって「全て」ではありません。
まずは「ヨガはポーズきれいにをとること!」というイメージを頭の中から外してみましょう。
目次
ヨガは元々どういうものなの?
ヨガを実践する人にとって、基盤となる書物である
「ヨーガスートラ」
その2つ目の項目に
”心(心素)の作用を止滅することが、ヨーガである”
”YOGA CHITTA VRTITTI NIRODHAH”
という一節があります。
”心の働きを止めることがヨーガである”
というわけです。
一気に興味が失せましたか?
もう少しお付き合いくださいませ(^^;;
分かるようで、分からないこの一文に、ヨーガスートラの全てが説明されています。
このヨーガスートラについては、今後少しずつ書いていきますね。
(ちなみにyoga=ヨガではなく”ヨーガ”長音です。実際には”ヨォガ”くらいの長さで発音し、そんなに伸ばさないらしいです。ここでは、耳馴染みのいい”ヨガ”で書いていきます。)
ヨガとは
〜元々、サンスクリット語で”くびきをつける”を意味する”ユジュ”が語源。
古代インド発祥で、心身を鍛錬することにより、それらを制御し、三昧(サマディー)の境地へと向かっていく。〜
これに似た文章は、ヨガに興味のある方ならよく目にすると思います。
しかし、現実感がなさすぎますよね。
心身の鍛錬って?
三昧って?
この2ワードだけで、ヨガを拒否したくなる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、もちろん
いきなり三昧の境地にたどり着くわけではありません。
始めの一歩は何をするにもあります。
実際、ヨガでは最終的な目標(三昧)にたどり着く前に、多くの段階を踏んでいきます。
大きなくくりでいうと8つ。
「八支則(はちしそく)」
- ヤマ『禁戒』
- ニヤマ『勧戒』
- アーサナ『坐法』
- プラーナーヤーマ『調気』
- プラティアーハーラ『制感』
- ダーラナー『集中』
- ディアーナ『瞑想』
- サマーディ『三昧』
というものがあるのですが、その一つの部門も分解して噛み砕いて分かりやすくし、自分の中で一つ一つクリアしていきます。
ヤマ、ニヤマは、以前少しお話しましたね。
この、一つ一つをクリアしていく作業の中に、私たちの生活をより快適にさせてくれる”ヒント”のようなものがたくさんあります。
最初の目標
最初の段階として、普段の生活で
「心が揺らがないでいられる自分」
これを目標にしていきましょう。
(少し堅苦しいですね^^;;ですが、この部分を少しでも理解していると、いつものヨガレッスンが少し角度を変えて新鮮に感じられますよ^^)
心が揺らいでいない状態=イラつかない、焦らない、慌てない・・・
心が揺らいでしまう場面って、日常生活の中にたっくさんあるんです。
そんな時、落ち着いて行動できたらいいですよね。
ここをクリアしていくだけでも、生活の中でいいこと、素敵なことが盛りだくさんだと思います。
では、少し試してみましょう。
「普段は、そんなに心揺らいでないわ〜」
という方もやってみましょう。
床に、椅子に座ります。
お尻が痛くなりそうなら、座布団でもクッションでもいいのでお尻の下に敷いてみましょう。
そして、姿勢を正して静かに目を閉じ、頭の中を空っぽにしてみましょう。
どのくらい静かにしていられるか、時間を計ってみるものいいかもしれません。
どうぞ。
いかがでしたか?
数分と経たないうちに、頭の中にいろんなことが浮かんできませんでしたか?
顔がかゆくなったり、足や背中が痛くなったりしませんでしたか?
これも「心の揺らぎ」へとつながっていきます。
ただ座っているだけがこんなに辛いなんて!と思いますよね。
意識が余計なところへ向いてしまっては、心の静まりは訪れるはずはありません。
本来のヨガではこの状態を何時間も続け、最終段階の「三昧(サマディー)」状態へ入っていきます。数分座っただけで気が散るようでは、何も始まらないのです。
ヨガレッスンで大切なこと
長時間、同じ姿勢を保つためには筋力も必要ですし、関節の柔らかさも不可欠です。
ここで考えられたのが「ハタヨガ」動くヨガですね。本来のヨガを、理解しやすくするために考えられました。
アーサナ(ポーズ)をして体を動かし、筋力、柔軟性を身につけます。
ヨガレッスン中に、インストラクターからこんな言葉を聞いたことはありませんか?
「意識を内側に向けましょう〜」
「呼吸を意識を向けて〜」
インストラクターの言う、このような言葉。
意味が本当に分かるようになるまで、自分の中に落とし込むまでには、時間がかかりますねよね。
では、なぜそんなことを言うのか。
それは、冒頭に書いた
「心が揺らいでない状態」
につながっていきます。
ヨガレッスン中の外に向いてしまいがちな意識を、アーサナをしている時の自分に向けていきます。
思いを”今”に留めていきます。
それを繰り返しながら、自分の中に、身体と心の軸を見出していくのです。
そして、心と身体をつなげていきます。
「これをしたらダメ!」
と分かっているのに、手が伸びてしまう。足が向かってしまう。という経験はありませんか?
これが、心と身体が繋がっていない状態です。
これを繋げる練習をしていく時間です。
ということを踏まえると、ヨガレッスン中はご自身に集中する時間です。
アーサナをしているとき
身体のどこが曲がって、どこが伸びているのか。意識してみましょう。
どこが硬くなり、どの部分が伸ばしやすいか、痛みや、違和感がないか感じてみましょう。
下から、スキャンしていくイメージで見ると、面白いかもしれませんね。
そして、呼吸です。
今、アーサナをしている時の呼吸を観察してみます。呼吸が浅くなっていたら、吸う息と吐く息を観察してみましょう。無理に深く長くする必要はありません。呼吸を観察すると自然と呼吸がゆっくりになっていきます。
考えることがいっぱいですね。
決して
「まだ、終わらないかなぁ」
「お腹減ったなぁ」
「キープ(ポーズを保つこと)が長いなぁ」
と考える時間ではありませんよ。
ですが、ヨガを始めたばかりの頃はそう考えても仕方ないと思います。
一つ一つの練習を積み重ねると、少しずつ集中できるようになります。
そんなこと言ったって
「ヨガレッスンに頻繁には通えない!」
という方や
「レッスン中は周りが気になってしょうがない!」
という方は毎日の生活の中に、取り入れていきましょう。
では、『心が揺らがないでいられる自分』を保つために、普段の生活に中にヨガをどう取り入れていくのかは、今後少しずつ書いていこうと思います。
まとめ
ヨガは、きれいにポーズをすることが目的ではありません。
まずは、心の揺れを落ち着かせることを目標におきましょう。
ヨガのレッスンは自分に集中する時間です。自分自身をしっかり観察しましょう。